笠井 浩
経営者として。

春日部で働く経営者としての日々

古を護る、新を学ぶ京都

すべての日本の建築家にとって「京都」という街は、
「創造に向けてのヒント」を、いつも投げ続けてくれる。
そんな場所であると、訪れるたびに思います。
京都には、「京都らしさ」「日本らしさ」を
誰から言われるのでもなく、自然に大切にする文化が、
当たり前のように根付いている、と。
 
想像を超えるほど古い時代に建てられた木造建築を、
時代に合わせて修復しながら住まい、
時代の先端をいく新しい建物も、かならず
先人が遺した美しい建造物との調和を考え抜いて建てる。
そうした「京都らしさを護る」意識の中に、
新しい時代の「建てるという行動」を産み出す
きっかけになるものが溢れているような気がします。
 
美しい庭を隅々まで眺められる部屋構成
 
坪庭へと続く町家の土間の渡り
 
自然との調和を最優先した石畳や木の声がする廊下
 
時代を超えて見るものを圧倒する社寺仏閣
 
京都を旅するたび、居るだけで落ち着ける「建物」の
素晴らしさに溜息をつく思いです。
それは決して、歴史的建造物の偉容に
対する驚きだけではなく、町中を歩いた時にふと気づく、
小さな建物のデザインやディテールの
「美しさ」と「使い勝手の良さ」から知る、
先人たちの凄みに対する羨望。
 
ただ……近年の訪京では
この素晴らしい“京都らしさ”も、観光化で、
少しずつ変化してきているのを感じる瞬間があります。
少し、淋しく思います。
 
大勢の人が集まる和室では、
多方の意見が行き交うことや、
会の中心が誰なのかを明確にする
ことが計算し尽くされている。
石畳を彩る幾何学模様はまるで、
四角の組み合わせで創った
現代アートのようだ。
花街の文化は色褪せない。
料亭の宴会場は、華やかで
楽しくて、でも落ち着く。